最近のピカピカなCGアニメもいい。 だが、どうも魂を感じない時がないか? あのブラウン管の向こうから漂ってきた、硝煙とオイルの匂いが恋しくはないか?
俺が初めて『装甲騎兵ボトムズ』に出会ったのは、たしか夏休みの昼下がりの再放送だった。 主人公は愛機を叫ばず、必殺技もない。 ロボットは主役機ですらガンガン壊され、平気で乗り捨てられる。 あまりにも無慈悲で、乾いた戦場の現実に、子供ながらに衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えている。
あれから40年。 なぜ俺たちは、いまだにあの『最低野郎ども(ボトムズ)』の物語に心を鷲掴みにされ、むせ返るような熱狂を覚えてしまうのか。 あんたも同じ気持ちだろう? 今日は俺が40年間考え抜いた、その理由を語り尽くしたい。
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まず、ボトムズが他のロボットアニメと一線を画す最大の理由は、その『徹底的なリアリズム』にある。 スーパーロボットはもちろん、ガンダムでさえ「主役専用のワンオフ機」という概念があった。 だが、ボトムズはそれを根底からぶっ壊したんだ。
◇主役機すら消耗品。 動く棺桶「AT」。
ボトムズに登場するロボット、アーマードトルーパー(AT)は、全長わずか4m前後。 まさに『バーティカル・ワンマン・タンク・フォー・オフェンス・アンド・マニューバー(攻撃と機動のための直立一人乗り戦車)』という名の通り、ただの「兵器」であり「工業製品」だ。
その象徴が、主役機ともいえる『スコープドッグ』。 こいつは作中で「ATのベストスタンダード」と言われるほどの完成度を誇る量産機だが、とにかく壊れる。 弾切れになれば武器を捨て、動かなくなれば躊躇なく乗り捨てる。
主人公のキリコ・キュービィーが、次から次へとドッグ系の機体を乗り換えていく様は、それまでのロボットアニメの常識を覆すものだった。 自分の愛機に名前を付けて乗り続けるなんていう甘っちょろい感傷は、ボトムズの戦場には存在しない。
それが戦争のリアルなんだと、叩きつけられた気分だったな。
◇銀河を駆けるロードムービー。
物語は全4部構成。 惑星メルキアの退廃した街『ウド』から始まり、内戦の続く『クメン』、謎多き聖地『サンサ』、そして銀河の果て『クエント』へと、1クールごとに舞台がガラリと変わる。 これもまた、一つの場所に留まることを許されないキリコの過酷な旅路を象徴している。
男臭く、無骨で、それでいてキリコとヒロイン・フィアナの純愛というテーマが根底に流れている。 この絶妙なバランスが、俺たちの心を掴んで離さないんだ。
そして忘れちゃいけないのが、銀河万丈氏のナレーションによる『次回予告』だ。 「来週もキリコと地獄に付き合ってもらう」「キリコが飲むウドのコーヒーは苦い」。 高橋良輔監督自らが書き下ろしたというポエムのような文章が、ロッチナの声で紡がれる。
あの予告だけで、飯が三杯は食える。 もはや芸術の域だよな。
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ボトムズの魅力は、メカだけじゃない。 そこに生きる人間たちが、とてつもなく魅力的だ。 特に、主人公であるキリコ・キュービィーという男の存在は、この作品の核そのものだ。
◇異能生存体という祝福であり、呪い。
キリコは百年戦争を戦い抜いた元レッドショルダー隊員であり、AT乗りとしては天才的な腕を持つ。 だが、彼の本質はそこじゃない。 『異能生存体』――250億分の1の確率で生まれ、どんな絶望的な状況でも生き残るように『世界の因果律が歪められる』という、とんでもない体質の持ち主なんだ。
銃弾は心臓を逸れ、爆発に巻き込まれてもなぜか生きている。 だが、その力は彼の意思とは無関係に発動する。 彼を生き永らえさせるために、心を許した仲間が身代わりになって死んでいくことすらある。 孤独を好みながら、心の底では人との触れ合いを求め、「俺を一人にしないでくれ」と叫ぶ。
このどうしようもない矛盾と孤独を背負ったキリコの生き様こそが、俺たちが彼に惹きつけられる理由なんだ。 彼はスーパーヒーローじゃない。 ただ、死ぬことを許されないだけの、一人の男なんだよ。
◇戦場に咲く仲間とライバルたち。
そんなキリコの周りには、忘れられない連中がいる。
フィアナ:キリコが運命的に出会う、初のパーフェクトソルジャー(PS)。 赤子同然だった彼女が、初めて見たキリコに刷り込みを起こし、愛を知る。 彼らの不器用な純愛は、この殺伐とした物語の唯一の救いだ。
ゴウト、バニラ、ココナ:ウドの街で出会った、うさん臭くも憎めない悪友たち。 金のためにキリコを利用しようとしながら、なんだかんだで彼の旅に巻き込まれ、最後まで付き合うことになる腐れ縁。 特にバニラは、キリコに次ぐ生存能力の持ち主じゃないかと俺は睨んでいる。
イプシロン:キリコの前に立ちはだかる第2のPS。 PSとして生まれた誇りと、人間を超えたキリコへの嫉妬と憧れ。 幾度となく繰り広げられた彼との死闘は、ボトムズの名場面の一つだ。
ル・シャッコ:クエント人の傭兵。 寡黙だが義に厚い、キリコの最高の戦友。 彼が駆る『ベルゼルガ』のパイルバンカーは、全てのロボット好きの魂を震わせる。
こうした個性的なキャラクターたちが、キリコという男の物語に、忘れがたい深みを与えているんだ。
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そして、ボトムズの炎を燃やし続けてくれたのが『スーパーロボット大戦』シリーズの存在だ。 原作の雰囲気を壊さず、むしろゲームという媒体でその魅力をさらに引き出してくれた。
スパロボでのボトムズは、ちょっと特殊な立ち位置にある。 ATはハッキリ言って、機体性能だけ見ればそこまで強くない。 HPも装甲もペラペラだ。 だが、パイロットであるキリコの能力値が、毎回とんでもないことになっている。
技量、回避は常に自軍トップクラス。 そして、『底力』や『異能生存体』といったスキルが発動した時の彼は、まさに不死身。 敵の攻撃は当たらないし、万が一当たっても大したダメージにならない。 そこに『精密攻撃』が加わってクリティカルを連発し、単機で敵陣に突っ込んでは無双する。
これこそ、原作で描かれたキリコの異常な生存能力の、最高のゲーム的表現じゃないか!
特に『第2次スーパーロボット大戦Z』では、フィアナとの合体攻撃が追加され、二人の絆が恐るべき火力を生み出した。 隠し機体である『スコープドッグTC・ISS』を手に入れた時の興奮は、今でも忘れられない。 スパロボは、俺たちに新たな地獄でキリコと付き合う喜びを教えてくれたんだ。
もう一度、ウドの苦いコーヒーを飲み干せ。
どうだ? 俺が40年間むせ続けてきた理由が、少しは伝わっただろうか。
徹底的にリアルな「兵器」としてのロボット。 死ぬことすら許されない男の孤独な魂の物語。 そして、ゲームの中で蘇る最強の最低野郎。 この3つが奇跡的に絡み合った時、『装甲騎兵ボトムズ』という唯一無二の作品が生まれたんだ。
この記事を読んで、あんたももう一度、ウドの街でキリコが啜ったあの苦いコーヒーを味わいたくなったんじゃないか? 今なら各種配信サービスで、いつでもあの地獄の戦場に身を投じることができる。 押入れの奥に眠っているプラモデルを、もう一度組み上げてみるのもいい。
そして、もしよかったらコメントで、あんたのボトムズへの想いを聞かせてくれ。 語り明かそうじゃないか。
…さてと。 そろそろ時間だ。
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