「最近のガンダムゲームってグラフィックは凄いけど、昔のやつってどうなの?」
「友達とめちゃくちゃハマったあのゲーム、今やったらどんな感じなんだろう?」
そんな風に思ったこと、ないか? 俺もだよ。 クローゼットの奥からホコリをかぶった昔のゲーム機を引っ張り出して、MSXの時代からPS3まで、片っ端からガンダムゲームを遊び倒してみたんだ。 その数、なんと80本。
正直、中には「時間を返せ!」って叫びたくなるようなヤツもあった。 でも、それ以上に、今のゲームじゃ味わえないアツさや、時代を切り拓いた開発者たちの魂を感じる神ゲーにもたくさん出会えたんだ。
この記事では、俺が実際に80本のガンダムゲームを渡り歩いてきた中で感じた、それぞれの時代の空気感や、特筆すべきゲームの魅力を、当時の思い出と共に語っていく。 単なるゲーム紹介じゃない。 これは、ガンダムというコンテンツが、ゲームというメディアの中でどう進化してきたのかを追体験する、壮大な旅の記録だ。
この記事を読み終える頃には、きっと君もお気に入りの一本を見つけて、コントローラーを握りしめたくなるはずだぜ。
■黎明期:すべてはここから始まった(MSX・PC-88編)
今みたいに綺麗なグラフィックなんて当然ない。 BEEP音とカクカクのドット絵。 それが当たり前だったパソコンゲームの時代。 正直、今の感覚でプレイすると「え、これマジ?」ってなる部分も多い。 でもな、ここには確かにガンダムゲームの原点があったんだ。
MSXの『機動戦士ガンダム ア・オ・ア・オを攻略せよ』なんて、タイトルからして謎だろ? でも、これがまた、限られた性能の中でなんとかガンダムの世界を表現しようっていう熱意が伝わってくるんだよな。 PC-88で出た『機動戦士ガンダム』や『モビルスーツZガンダム』も、シミュレーション要素が強くて、パイロットっていうよりは指揮官になった気分を味わえた。
特に印象的だったのが『モビルスーツガンダム タクティカルオペレーション』。 これはもう、完全にボードゲームのノリ。 ユニットを動かして、戦闘はコマンド選択。 地味だけど、一手一手が重要で、頭を使わなきゃ勝てない。
アムロの天才的な操縦技術っていうより、ブライトさんの胃の痛みを体験できるようなゲームだったな。 この時代のゲームは、プレイヤーの想像力に委ねる部分が大きかった。 だからこそ、俺たちの頭の中では、ガンダムが確かに動いていたんだ。
■ファミコン・スーファミ戦争:SDガンダムが大増殖した黄金時代
家庭用ゲーム機の時代が到来して、ガンダムゲームは一気に花開いた。 特に、ファミコンとスーパーファミコンの時代は、リアル頭身のガンダムと同じくらい、いや、それ以上に「SDガンダム」が主役だったと言っても過言じゃない。
その火付け役が、ディスクシステムの『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』だ。 これがもう、革命的に面白かった。 可愛いSDのモビルスーツたちが、コミカルに、でも白熱したバトルを繰り広げる。
友達の家に集まって、どっちの軍が強いかで延々と対戦したもんだ。 領地を占領して、ユニットを生産して、敵の本拠地を叩く。 シンプルだけど奥が深くて、このシステムの完成度は異常だった。
ファミコン後期には『ガチャポン戦士2 カプセル戦記』『3 英雄戦記』『5 バトルオブユニバーサルセンチュリー』とシリーズが進化していく。 特に5作目は宇宙世紀の歴史を追体験できるシナリオで、SDながらも壮大な物語に胸を熱くしたもんだ。
そして、スーパーファミコンの時代へ。 グラフィックもサウンドも格段にパワーアップして、ガンダムゲームはさらに多様化していく。 シミュレーションでは『スーパーガチャポンワールドSDガンダムX』や、その究極進化系とも言える『SDガンダムG NEXT』が登場。
特に『G NEXT』は、宇宙世紀だけじゃなくGガンやWの機体まで出てくるオールスター仕様。 自分で部隊を編成して、原作ではありえない夢の対決を実現できるのが最高に楽しかった。 ユニットを改造したり、パイロットを乗せ替えたり、何時間でも遊んでいられたな。
アクションゲームも名作揃いだ。 『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラ戦記0122』や『機動戦士Vガンダム』は、リアル頭身のガンダムをグリグリ動かせるだけで感動した。 そして、忘れてはならないのが、今なお格ゲーマーの間で伝説として語り継がれる『新機動戦記ガンダムW ENDLESS DUEL』だ。
操作性、スピード感、コンボの爽快感、どれをとってもスーファミの格ゲーとは思えないほどの完成度。 ヒイロのウイングガンダムでバスターライフルをぶっ放すのも、デュオのデスサイズで相手を切り刻むのも、何もかもが気持ちよかった。
これは間違いなく、スーファミ時代の最高傑作の一つだ。
■次世代機への胎動:セガサターン・プレステがもたらした衝撃
CD-ROMという新しいメディアを手に入れたセガサターンとPlayStationの登場は、ガンダムゲームに新たな革命をもたらした。 ムービーによる演出、声優によるボイス、3Dポリゴンによる立体的なモビルスーツ。
俺たちがアニメで見ていたあの世界が、そのままゲームの中に再現されたんだ。
セガサターンで度肝を抜かれたのが、『機動戦士ガンダム』だ。 ホワイトベースのクルーになって、ガンダムの戦いを追体験していくんだが、コックピット視点の3Dシューティングがとにかくリアルだった。 「こいつ、動くぞ!」の感動を、プレイヤー自身が味わえたんだ。
さらに、外伝シリーズ『THE BLUE DESTINY』三部作。 これはヤバかった。 主人公ユウ・カジマになって、謎のシステム「EXAM」を巡る戦いに身を投じるんだが、ストーリーが秀逸すぎる。 自分が本当に連邦の一兵士になったかのような没入感。
特に、初めてEXAMシステムが発動した時の、視界が赤く染まって機体が暴走する演出は鳥肌モノだった。
そして、シミュレーションゲームの金字塔『機動戦士ガンダム ギレンの野望』がセガサターンで産声を上げた。 プレイヤーは連邦かジオンの総帥(ギレンやレビル)になって、一年戦争全体の指揮を執る。 モビルスーツの開発、生産、部隊の配置、外交まで、やれることが膨大で、まさに「ガンダムの世界を丸ごと遊ぶ」ゲームだった。
「あえて言おう、カスであると!」なんて名セリフを自分で言える日が来るとはな。 このゲームのせいで何人のゲーマーが寝不足になったことか。
一方のPlayStationも負けてはいなかった。 同じく『機動戦士ガンダム』を出すんだけど、こっちはよりアクションに特化した作りだった。 Ver.2.0ではシャア専用ザクとの息詰まる戦闘が再現されていて、「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを!」というセリフを聞きながら戦うのは最高に燃えた。
他にも『逆襲のシャア』や『Zガンダム』もゲーム化され、あの名シーンを自分の手で再現できる喜びに打ち震えたもんだ。
この時代は、ガンダムゲームが「キャラクターゲーム」の枠を超え、一つの独立したジャンルとして確立された重要な時期だったと言えるだろうな。
■円熟と多様化の時代:PlayStation 2の輝き
PlayStation 2の時代は、まさにガンダムゲームの黄金期だった。 ハードの性能向上によって、開発者たちがやりたかったことがほぼ全て実現できるようになったんだ。 美麗なグラフィック、滑らかなアクション、圧倒的な物量。 名作、傑作が次々と生み出されていった。
この時代を象徴する一本を挙げろと言われたら、多くの人が『機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオンDX』と答えるんじゃないか。 もともとアーケードで大人気だった2on2の対戦アクションが、ほぼ完璧な形で家庭用に移植されたんだ。
コストの概念、チームでの連携、読み合いの熱さ。 ゲームセンターの興奮が家で味わえるってんで、友達と集まっては夜通し対戦したもんだ。 「アムロ、うまくやれよ」「あなたならできるわ」なんてセイラさんの声援を受けながら戦場を駆け抜ける。
まさにガンダムパイロットそのものだった。 この「vs.シリーズ」は後に『エゥーゴvs.ティターンズ』『連合vs.Z.A.F.T.』へと続き、PS2を代表するキラータイトルになった。
ストーリー追体験型のゲームも極まっていた。 『機動戦士ガンダム』『めぐりあい宇宙』は、一年戦争の物語を驚異的なグラフィックで再現。 特に『めぐりあい宇宙』の宇宙空間での戦闘は、無重力感とスピード感が凄まじく、アムロのニュータイプの覚醒を肌で感じられるようだった。
スレッガーさんの「悲しいけど、これ戦争なのよね」を聞いてマジで泣きそうになったのは俺だけじゃないはずだ。
シミュレーションでは『SDガンダム GGENERATION』シリーズが『NEO』『SEED』『SPIRITS』と進化を重ねていった。 『SPIRITS』では、宇宙世紀の物語を徹底的に掘り下げ、グラフィックも戦闘アニメーションもとんでもないクオリティに。
自分の好きな機体とパイロットで最強の部隊を作り、歴史に介入していく。 ガンダムファンなら誰もが夢見る遊びが、ここにあったんだ。
他にも、『ガンダム戦記 Lost War Chronicles』のようなリアルな兵士の視点を描いた作品や、完全オリジナルストーリーの『G-SAVIOUR』なんて変わり種まで、ありとあらゆるガンダムゲームがPS2には詰まっていた。
間違いなく、ガンダムゲーマーにとって最も幸せな時代だったな。
■ポータブルでいつでも戦場へ:PSPの革命
PS2で全盛期を迎えたガンダムゲームは、次の舞台として携帯ゲーム機PSPを選んだ。 これがまた、大正解だった。 「いつでも、どこでも、ガンダムで遊べる」。 この手軽さが、新たなプレイスタイルと熱狂を生んだんだ。
その筆頭が『ガンダムバトル』シリーズと『ガンダムvs.ガンダム』シリーズだ。 特に『ガンダムvs.ガンダム NEXT PLUS』は、歴代ガンダム作品の主役機が一同に会するオールスターバトルで、PSPの性能を限界まで引き出したグラフィックと高速バトルがヤバかった。
アドホック通信を使えば、友達と顔を突き合わせて対戦できる。 休み時間や放課後、カフェや電車の中、あらゆる場所が戦場になった。
そして、忘れてはいけないのが『機動戦士ガンダム 戦場の絆ポータブル』だ。 ゲームセンターで巨大なドーム型筐体に入って遊ぶ、あの伝説のゲームをPSPに落とし込んだ意欲作。 もちろん、操作感は違う。 でも、あのチーム戦の緊張感や、MSを操縦している感覚はしっかりと再現されていた。
一人でミッションを進めるのも、仲間と協力して戦うのも、どちらも楽しかった。
PSPの時代は、大画面でじっくり遊ぶのとはまた違う、コミュニケーションツールとしてのガンダムゲームの可能性を切り拓いたんだ。
■HD時代の幕開け:PlayStation 3が魅せた新たなビジョン
そして、戦場はついにHDクオリティへ。 PlayStation 3の登場で、ガンダムゲームのビジュアルは、もはやアニメと見紛うレベルにまで到達した。
もちろん、従来のファンに向けたタイトルも進化していた。 『機動戦士ガンダム戦記』は、PS3の性能を活かした重厚なグラフィックとリアルなMSの挙動で、戦場の空気感を完璧に表現。 オンラインで仲間と部隊を組んでミッションに挑むのは、まさに本物の傭兵部隊の一員になった気分だった。
そして、「vs.シリーズ」の正統進化形である『機動戦士ガンダム EXTREME VS.』とその続編『FULL BOOST』。 アーケードの興奮をそのままに、グラフィックも参戦機体も大幅パワーアップ。 オンライン対戦が当たり前になり、全国の猛者たちと日夜しのぎを削った。
このシリーズは、もはやガンダムゲームというより、一つの対戦ツールとして完成の域に達していたな。
MSXのドット絵から始まったガンダムゲームの旅は、PS3の時代には、本物と見紛うほどのリアリティを手に入れた。 この進化の歴史そのものが、ガンダムというコンテンツの偉大さを物語っている。
MSXからPS3まで、80本に及ぶガンダムゲームを巡る旅、どうだっただろうか。
それぞれの時代に、それぞれの技術で、開発者たちが「ガンダム」というテーマに全力で向き合ってきた熱量が感じられたんじゃないかと思う。 古いゲームには今のゲームにはない尖った面白さがあるし、新しいゲームには昔じゃ考えられなかった表現力がある。
今回紹介したのは、膨大なガンダムゲームのほんの一部に過ぎない。 君が好きだったのに紹介されなかったゲームもたくさんあるだろう。 それでいいんだ。 大切なのは、自分にとっての「神ゲー」が何か、ってことだからな。
もし、この記事を読んで少しでも昔のゲームに興味が湧いたら、ぜひクローゼットの奥から古いゲーム機を引っ張り出してみてくれ。 あるいは、最近のゲームしか知らないなら、レトロゲーム配信やバーチャルコンソールで過去の名作に触れてみるのもいい。
そこにはきっと、君がまだ知らない、熱くて、泥臭くて、最高にカッコいいガンダムの世界が広がっているはずだ。 さあ、次は君がコントローラーを握る番だぜ。