「認めたくないものだな。若さ故の過ちというものを」
全国1000万の赤い彗星ファンの諸君、ごきげんよう。 今回は、このシャアの名言が突き刺さる、宇宙世紀の『過ち』と『真実』について語り尽くしていこうと思う。 テーマは『機動戦士ガンダムUC』の核心、そう、『ラプラスの箱』だ。
「将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させる」
この、宇宙世紀憲章から削除された一文。 これが『ラプラスの箱』の正体だと言われている。 だが、本当にこれだけで地球連邦がひっくり返るほどの力があったのか?俺も長年、この謎について考え続けてきた。 そして、多くのファンが陥っている『大きな誤解』に気づいたんだ。
結論から言おう。 『ガンダムUC』は、俺たちが知っているファーストガンダムからの宇宙世紀史を、根底から『再構築』した物語なのだ。 この事実を知らないと、ラプラスの箱の本当の恐ろしさも、バナージが託された『可能性』の重みも、何一つ理解できない。
今回は、その核心に迫る『3つのヤバい嘘』を徹底的に解説していく。 この記事を読めば、あなたのUCに対する見方が180度変わることを保証する。
『ヤバい』設定の違い!UCと初代ガンダム、決定的相違点
まず、大前提として『ガンダムUC』と、それまでの宇宙世紀作品、特に富野監督が手掛けたオリジナルの物語とでは、設定の根幹が大きく異なる。 もちろん、サイコフレームの設定なんかは、小説版『ハイ・ストリーマー』の内容まで拾っていて、驚くほど丁寧に作られているんだ。
ユニコーンガンダムがパイロットの思考だけで動く『インテンション・オートマチック・システム』を搭載しているなんて設定は、まさにその賜物だ。
だが、そんな細かい話じゃない。 もっと根本的な、宇宙世紀の歴史そのものを左右するほどの違いが、特に『宇宙移民計画』の解釈に存在するんだ。
嘘その1:宇宙移民は『最初から』棄民政策だったという誤解
フル・フロンタルは劇中で「宇宙移民が棄民政策であった」と語る。 これはファーストガンダムの時代から言われていたことだし、『F91』でマイッツァー・ロナも同じ言葉を使っている。 だが、この二つの『棄民政策』は、意味が全く違う。
『UC』の世界観: 宇宙移民は計画当初から、地球の余剰人口、政治犯、食いつめた者といった『社会的弱者』を選別し、宇宙へ追いやる『棄民政策』だった。 50年で人口の半分を移民させるという計画自体が、初めから『地球に残る者』と『宇宙へ棄てられる者』を選別していた証拠だ。
オリジナルの世界観: 宇宙移民は、一部の例外を除き『全人類』を100年かけて宇宙へ移住させる壮大な計画だった。 これは地球環境の保全という大義名分があった。 つまり、最初は『平等』だったんだ。 それが、計画の最終段階になって、特権階級の人間たちが「自分たちだけは地球に残りたい」と例外規定を悪用し始めた。
結果として、宇宙移民は『棄民政策に変わってしまった』というのが真実だ。
この違い、些細なことに見えるか?いや、全く違う。 この『始まり』の違いが、宇宙世紀の対立構造そのものを決定的に変えてしまうんだ。
知らないと損する!スペースノイドの『参政権』問題の根源
この『宇宙移民計画』の解釈の違いは、アースノイドとスペースノイドの間に生まれた決定的な断絶、つまり『参政権』の有無に直結する。
嘘その2:スペースノイドは最初から政治参加できなかったという誤解
『UC』の劇中、フロンタルやロニ・ガーベイは「スペースノイドには地球連邦議会への選挙権がない」「市長の任命権さえ中央政府に独占されている」と語る。 これは、移民計画が初めから『棄民』、つまり不要な人間を切り捨てる政策だったからだ。
「増えすぎた人間に参政権はいらない」と考える連邦政府によって、スペースノイドは政治的に無力な存在として、最初から制度的に組み込まれてしまった。 UCの世界では、地球に残った各国の代表者が議会を構成しており、国家ではないスペースコロニーの住民に選挙権がないのは『当然』という理屈なんだ。
これは民主主義というより、少数の特権階級が支配する『貴族主義』に近い。
だが、オリジナルの宇宙世紀ではどうだ?全く違う。 『Zガンダム』でハヤトがシャアに「地球連邦政府の首相になるべきです」と進言するシーンがある。 スペースノイドであるシャアが首相になれる道筋があるからこそのセリフだ。
『F91』では、ロナ家はスペースノイドでありながら連邦議会の議員を務めている。 『閃光のハサウェイ』に至っては、主人公のハサウェイの父親、あのブライト・ノアでさえ、軍を退役したらレストラン経営か『政治家』になることを考えていたんだ。
ロンデニオンというスペースコロニーで暮らしながら、だ。
なぜか。 それは、地球連邦が標榜するのが『絶対民主主義』だからだ。 選挙区は全スペースコロニーを対象にしており、スペースノイドにも当然、選挙権と被選挙権があった。 問題は、その広大な選挙区で勝ち抜くには強大な選挙基盤が必要で、結果的に世襲議員のような特権階級ばかりが当選してしまうという制度疲労にあった。
そして、そうやって選ばれた政治家たちが、例外規定を悪用して地球に居座り、宇宙に関心を失っていった。 これが、オリジナルの宇宙世紀でスペースノイドが虐げられていた本当の理由なんだ。
『UC』は、この複雑な政治的背景を「最初から参政権がなかった」という、よりシンプルで分かりやすい対立構造に『再構築』した。 だからこそ、ラプラスの箱に書かれた「新人類を政府運営に参画させる」という一文が、連邦を転覆させかねない爆弾になるわけだ。
さて、いよいよ本題の『ラプラスの箱』だ。 この箱の価値、そして恐怖は、ある人物の登場を境に、全く別のものへと変貌してしまった。
嘘その3:ラプラスの箱は最初からニュータイプのためのものだったという誤解
多くのファンは、箱の中身=ニュータイプを優遇する条文、と考えている。 だが、それは半分正解で半分間違いだ。 箱の意味は、歴史の中で『2段階』に変化した。
第1段階:ジオン・ダイクン登場前。
もともと、箱の正体は『ラプラス事件の真相』を記した石碑でしかなかった。 宇宙世紀の幕開けを祝う式典で、初代首相リカルド・マーセナスがテロで爆殺された事件。 だが、あのテロは、実は連邦政府自身が仕組んだ『自作自演』だったんだ。
宇宙移民計画に反対する勢力を一掃し、強権的に計画を推進するための口実。 その計画の首謀者こそが、リカルドの息子であり、後の首相ジョルジュ・マーセナスだった。 被害者と思われていたマーセナス家こそが、実は加害者だった。
このスキャンダルを握ったサイアム・ビストは、連邦を脅迫し、ビスト財団を一代で築き上げた。 この時点では、箱は連邦とビスト財団の『共犯関係の証』でしかなく、政権を揺るがす程度のスキャンダルに過ぎなかった。
第2段階:ジオン・ダイクン登場後。
全てを変えたのが、ジオン・ズム・ダイクンの登場だ。 彼が『ニュータイプ論』を提唱したことで、偶然にも、あの石碑に刻まれた一文が、とんでもない意味を持ってしまった。
「宇宙に適応した新人類」=『ニュータイプ』
この偶然の一致が、単なるスキャンダルだった石碑を、『呪い』に変えた。 スペースノイドたちは、この一文を自分たちの権利の正当性の根拠とし、独立運動の旗印にできる。 つまり、連邦に対する『戦争の大義名分』になってしまう。
一年戦争という未曾有の悲劇を経験した連邦政府にとって、再び全人類を巻き込む戦争の火種になりかねないこの箱は、絶対に開けられない恐怖の的となったわけだ。
UC計画の真の目的と『可能性』という名の神
この呪いを永遠に葬り去るために画策されたのが、ローナン・マーセナスらが主導した『UC計画』だ。 その真の目的は、表向きの『宇宙軍再編』などではなく、『ニュータイプ絶滅計画』に他ならない。 宇宙世紀100年を迎え、ジオン共和国が解体されれば、ニュータイプという言葉もいずれ忘れ去られる。
その前に、ニュータイプという『存在』そのものを物理的に消し去り、ラプラスの箱をただの石ころに戻す。 そのための最終破壊兵器が、RX-0ユニコーンガンダムだった。
しかし、サイアムとカーディアス親子は、その思惑とは逆に、箱が意味を持つ最後の瞬間に、その未来を『真のニュータイプ』に託そうとした。
なぜユニコーンが『可能性の獣』と呼ばれるか知っているか?それは、オーストリアの詩人リルケの詩にあるように、現実には存在しない一角獣を、人々が『存在するかもしれない』という可能性だけで信じ、その想いが獣に力を与えた、という物語に由来する。
ラプラスの箱も同じだ。 それは、宇宙世紀という新たな時代における、人類の『新たな契約の箱』だった。 かつてモーセが神との十戒を収めたように、ラプラス憲章には、人類が自らの中に眠る『可能性』という名の神を信じ、未来へ進むための祈りが込められていた。
その第7章のタイトルこそが『未来』だったのだ。
サイアム・ビストが最も恐れたのは、箱が開かれた結果「何も変わらない」という未来だった。 だから彼は、ラプラス・プログラムという試練を用意し、人の心の光を信じられる『真のニュータイプ』を探し出した。 箱を開けて世界をすぐに変えるのではなく、いつか全人類がニュータイプになるその時まで、希望の光を受け継いでいってほしい。
その祈りこそが、サイアムのたった一つの望みだった。
ラプラスの箱とは、そんな『可能性』そのもの。 まさに、可能性だけで存在し、その可能性が力を持つ獣、『ユニコーン』だったのだ。
結局のところ、ラプラスの箱の条文そのものに、世界をひっくり返すほどの強制力はない。 ローナンが言うように、何がニュータイプかなんて証明はできないし、大衆はすぐに忘れる。
だが、重要なのはそこじゃない。
宇宙移民によって分かたれてしまった人類が、いつか再び手を取り合えるかもしれない。 連邦は、棄民という過ちを犯したが、その始まりには、未来への『祈り』があった。 その『事実』こそが、絶望に満ちた宇宙世紀において、かすかな光を灯し続ける希望なのだ。
秩序や現実を守ろうとする大人たちと、可能性や理想を信じようとする子供たち。 その狭間でバナージ・リンクスは叫び続けた。
『それでも』と。
今回語った宇宙世紀の『嘘』と『真実』。 これを知った上で、もう一度『機動戦士ガンダムUC』を見返してみてくれ。 フロンタルの言葉の重みも、ミネバの覚悟も、そしてバナージの最後の叫びも、きっと全く違って聞こえるはずだ。
その時、あなたの心に宿る『可能性』という名の神が、何を語りかけるだろうか。
ツール。
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